多様性、公平性、インクルージョン
任天堂では、年齢、性別、国籍のほか、さまざまな社会的背景に関わらず社員が活躍しており、誰もが楽しめる娯楽づくりに取り組んでいます。
多様性、公平性、インクルージョンに関する考え方
任天堂は、人権を尊重し、人種、民族、国籍、思想、宗教、信条、出身、社会的身分、社会的地位、職業、性別、年齢、障がいの有無、性的指向、性自認、婚姻状況等に関係なく人材採用を行っています。お客様の趣味・嗜好の多様化が進む娯楽の世界にあって、多様な人材の活躍は、会社の総合力を高めるために欠かすことができません。すべての社員がそれぞれの能力を発揮し、お互いに尊重し合える職場を目指しています。
また、国連「ビジネスと人権に関する指導原則」などの国際規範や国際基準を支持し、それらをもとに「任天堂人権方針」を制定しています。この方針は、社外の専門家からの助言を得たのちに、取締役会決議を経て制定されています。この方針は各国のコンプライアンス・マニュアルや、行動規範にも記載し、社員へ周知しています。任天堂(日本)では新入社員に対する研修にて内容を紹介しています。海外子会社においてもそれぞれ研修を行っており、例えば、米国任天堂では社員が毎年行動規範に関するトレーニングを受けています。また、サプライチェーンや取引先とやり取りをする社員に向けて人権に関する教育を継続的に行っています。欧州任天堂は、すべての新入社員に対して、人権の尊重、英国現代奴隷法※1 に関する法令遵守、差別の禁止や平等な待遇を項目として含んだ行動規範に関しての研修を行っています。これらの内容について復習する機会として、すべての欧州任天堂社員に向けた研修も定期的に行っています。任天堂オーストラリアでは、調達活動に関わるすべての社員に対して豪州現代奴隷法に関する必須の研修を毎年行っています。
「任天堂人権方針」
※1 現代奴隷法
人身売買、強制労働、性的搾取などの「現代の奴隷」に企業が加担することを抑制するために(英国をはじめヨーロッパ各国および豪州などで)施行されている法律。
社内浸透
任天堂は、多様性を実現し、お互いが尊重し合う職場環境をつくるために、各国での事情に合わせて研修や社員への情報発信を行っています。
例えば任天堂(日本)では、社内ポータルサイトに多様な性のあり方について解説する記事を掲載したり、新入社員研修で多様性について考える機会を設けたりしています。
海外子会社でも、多様性に関する認識を高めるための取り組みを行っています。
米国任天堂 多様性、公平性、インクルージョンに関する研修を実施
米国任天堂は、さまざまな研修機会を継続的にオンラインおよび対面形式で社員に提供しています。例えば、社員が自由に見られるオンライン研修プラットフォームでは、ソフトウェアや独創的なものづくりのほか、さまざまなビジネス領域における業界の専門家が講師を務めるビデオ講義を多数提供しています。
また、教育フォーラムを発展させながら、継続的に開催しています。このフォーラムは、難しい話題についての新たな知見や、ユニークな視点、米国任天堂の多様なコミュニティの経験についてより深く認識し理解するための機会を提供することで、多様性、公平性、インクルージョン(DEI)を推進するという米国任天堂全体の目標を達成することに貢献しています。最近と今後のフォーラムでは、コミュニティと帰属意識の職場における重要性がテーマです。
2023年から2024年にかけて、米国任天堂の使命や価値観を推進する日々の行動指針「Nintendo of America Practices」を、多様性やインクルージョンの視点から検討し、フォーラムのテーマとの関連付けを図りました。例えば、「Nintendo of America Practices」の一つである「お互いを支え合う」を、「よりよい関係を築く」というテーマのフォーラムと組み合わせて、インクルージョンに配慮しながら日々の行動を改善するための実践的な方法を示しました。それぞれのフォーラムで関連する「Nintendo of America Practices」の項目を取り上げ、社員がDEIと日々のコミュニケーションとのつながりについて理解を深められるようにしました。
2025年に入り、帰属意識に焦点を当てた読書会を通して、社員はより没入感のある学習体験に参加する機会を得ました。この新しい取り組みは、多くの社員にとって、どうすれば帰属意識を感じられる環境づくりに貢献できるのか、実践的な方法を学ぶ機会になりました。
米国任天堂 社員によるグループ活動を通じた多様性のための取り組み
米国任天堂では、社員がすべてのお客様の視点と背景に配慮することにより、その活動において成果を上げることができると信じています。この点で積極的な役割を果たしているのが「Employee Resource Group(ERG)」です。「ERG」は、共通の背景や経験を持つ社員、および、それをより学びたいと思っている社員をつなぐ取り組みを行っており、現在、6つの「ERG」が教育や経験を通じて会社の一体感を高める機会を創出し、毎年新たな方法で社員の結束と相互理解の向上に寄与しています。その一環として、米国任天堂は社内のさまざまなコミュニティについての認識を共有しています。社会的背景に関係なく、すべての社員はあらゆるERGに参加することができます。自分とは異なる見方をお互いに学び合うことで、社内の文化には「多様性・公平性・インクルージョン」があって当然であるという環境を作ることができます。それが周囲の人々を笑顔にすることにつながります。
現在、米国任天堂では次の6つの「ERG」が活動しています。
Asian, Asian American and Pacific Islander(API) は、米国任天堂で働くアジア・太平洋諸島系の社員とその支援者をサポートし、その活躍を応援するために、社員が学び合い、多文化的な視野を尊重する機会を生み出しているグループです。
Black at Nintendo Dialogue(B@ND) は、アフリカ系アメリカ人の経験に焦点を合わせた友好の場であり、社員は米国任天堂の内外で働く黒人の多様なコミュニティについて学んだり、支援したり、関与したりすることができます。B@NDは、地域での奉仕活動や社員エンゲージメント、採用活動を通じて、社内外の意識を高め、インクルージョンを促進しています。
eNable は、障がいのある人をはじめサポートを必要としている人々のコミュニティを支援し代弁する米国任天堂内のグループです。グループのメンバーはボランティア活動に積極的に取り組み、地域レベルのパートナーシップの構築に多くの時間を費やしています。
HOLA は、メンバーに加わっている社員に代表されるラテンアメリカ、およびヒスパニックのコミュニティや価値観を尊重し、その認知度を向上させるための機会の検討や、取り組みの推進に注力しています。
Women’s Initiative Network の目的は、有意義な関係の構築、学びと成長、会社の事業全体に重要な視点をもたらすことを通じて、女性の支援、地位向上、尊重を図ることです。
Rainbow は、米国任天堂におけるインクルージョンを促進し、LGBTQ+コミュニティの結束を強化する目的で、社内のLGBTQ+当事者と支援者が視点を共有し、コミュニティを形成するための場を提供しています。
任天堂オーストラリア 食の文化的多様性イベント
任天堂オーストラリアには、さまざまな文化的背景を持つ社員がいます。多くの文化で食が中心的な位置を占めるという認識から、社員が交流しながら民族や文化の多様性について学び、認識できるよう2024年10月に食の文化的多様性に関するランチイベントを開催しました。それぞれの文化を代表する料理を持ち寄り、13カ国29種類の料理を楽しみました。
さまざまな文化の料理を試食する任天堂オーストラリアの社員
社員のためのインクルーシブな職場環境整備
任天堂は、性別によらず十分に能力発揮できる環境を整えていく重要性を認識しているほか、どのような社会的背景を持つ社員であっても、すべての社員一人ひとりがいきいきと気持ちよく働き、能力を発揮できる職場づくりを行っています。
任天堂(日本) インクルーシブな職場環境づくりに関する取り組み
任天堂(日本)は、すべての社員一人ひとりがいきいきと気持ちよく働ける職場環境をつくりたいと考えています。この考え方に基づき、「パートナーシップ制度」を導入しています。この制度は、婚姻関係に相当する同性パートナーがいる社員について、社内制度において婚姻と等しく扱うものです。事実婚関係にある異性カップルについても、社内制度において、法律上の婚姻と同等に扱っています。また、社内のハラスメントに関する規程において、性的指向・性自認に関する差別的な発言や、アウティング※2 行為を明確に禁止しています。そして研修を通じて、悪意のない言動であっても当事者に大きな精神的苦痛を与える可能性があることについて注意喚起し、気持ちよく働ける職場環境づくりへの理解と協力をすべての社員に対して呼びかけています。
2024年4月には、性的指向や性自認の多様性に関して全社員向けと管理職向けのeラーニングをそれぞれ実施しました。
今後も、社内制度の整備や研修の実施などを通じて、社員一人ひとりが最大限に能力を発揮できる環境づくりを続けていきます。
※2 アウティング
他人の性的指向や性自認を本人の了承なく第三者に公表すること。
任天堂(日本) 高年齢者の安定雇用
任天堂(日本)は、社員が家庭や健康などの事情にあわせて長く働き、それぞれの価値観に合わせた定年後の人生設計をサポートできるよう、50歳以上のほぼすべての正社員を対象に、週休3日制や、一日の勤務時間を短縮できる制度を導入しています。こうした制度を活用することで、個人の希望に合わせた柔軟な働き方を選択できます。それに加えて、兼業・副業の許可範囲を拡大し、趣味などの社外活動に対して会社が支援を行うことで、将来の選択肢を増やす機会を持てるようにしています。また、節目となる年代ごとに将来のライフプランをともに考えたり、人事制度への理解を深めたりするための世代別研修を実施しています。
働きがいのある職場づくり
任天堂は、社員が働きがいを感じながら前向きに仕事に取り組めるように、各種制度を整えているほか、社内でのコミュニケーションを通じた健全な職場環境づくりに努めています。
ワークライフバランス
任天堂では、社員が仕事と個人の生活とのバランスをうまく取ることができるように、各地域の事情に合わせて制度の充実や利用促進などに努め、社員が最大限に能力を発揮できる環境を提供する努力をしています。以下は各地域で実施している取り組みの一例です。
任天堂(日本) 育児関連の取り組み
任天堂(日本)は、子育て支援の一環として毎年、育児中の社員を対象とした「育児座談会」を開催しており、「子の出生時」「育児休業からの復職時」「子の小学校入学時や学校生活」などのライフイベントをテーマに話し合いをしています。育児と仕事の両立を可能とするために、制度面の整備にとどまらず、同じ立場の社員同士でさまざまな情報を共有し、相談できる場を提供しています。
座談会では育児経験のある社員からのアドバイスを聞くことができ、育児の悩みや仕事との両立について語り合うことができました。参加者からは例年と同様に好意的な感想が上がりました。
なお、任天堂(日本)では、2020年4月に施行された改正女性活躍推進法に基づき、2021年度からの5年間の累計における育児休業取得率を女性は実質100%を継続し、男性は50%以上に上昇させることを目標として設定しています。
任天堂(日本) フレックスタイム制度
任天堂(日本)では、10:00~15:00をコアタイムとしたうえで日々の出退勤時間を各自でコントロールできる制度を導入しています。この制度の目的は、社員のワークライフバランスを促し、業務効率や生産性を向上させ、任天堂を取り巻く環境の変化に対応することです。社員からはこの制度について、「海外との時差を考慮して出勤時間を調整するなど、これまでより柔軟な働き方ができるようになった」、「育児や介護を行う上で、送迎の時間調整がしやすくなった」といった声が上がっています。
米国任天堂 子育てと勤務時間の柔軟性をサポート
米国任天堂では、子育て支援の一環として、ヘルパー、家庭教師などを探すサービスの会費を会社が負担しています。臨時休校、子どもの病気など通常の保育などを利用できないためにこのサービスを利用する場合には、年間最大15日まで補助金が支給されます。
さらに米国任天堂は、上司と話し合ってガイドラインの範囲内で勤務時間を調整できる制度を設けて、個人のニーズや事情に柔軟に対応できるようにしています。
欧州任天堂(ドイツ) 子育て中の社員をサポートする取り組み
欧州任天堂(ドイツ)では、ほぼすべての部署で、午前11時から午後4時までをコアタイムとするフレックスタイム制を導入しており、子育て中の社員は子どもを学校に送り届けてから始業することができます。幼稚園に通う子どものいる社員には諸費用の補助として育児手当も毎月支給されます。また、予期せぬ事態が発生した場合に備えて、オフィス備品をそろえプレイエリアを設けた親子用ルームを用意し、臨時休校のような非常時にも子どもの世話をしながら勤務できるようにしています。
欧州任天堂(ドイツ)の 親子用ルーム
任天堂オーストラリア 個人の事情に応じて選択できる勤務形態
任天堂オーストラリアでは、全社員が柔軟な勤務形態を利用できます。介護や子育てなど多様なニーズに対応するために、圧縮労働時間制(勤務時間を長くする代わりに休日を増やす)やフレックスタイムなどの選択肢を提供しています。また、全正社員を対象に毎年誕生日休暇を1日取得できる制度もあり、ゆっくり祝ったり、楽しんだりできるようにしています。
社員エンゲージメント
任天堂は、任天堂DNAである独創・柔軟・誠実を実現できる、明るくいきいきとした職場づくりを目指しています。会社と社員のコミュニケーションはもちろん、社員同士の関わり合いを活発にする取り組みを実施し、会社と社員、社員同士が相互に理解し信頼し合い、貢献し合える職場づくりに努めています。
任天堂(日本) 社内コミュニケーション
任天堂(日本)では、社内のコミュニケーションを活性化させるための工夫を講じています。
例えば、社長からの情報発信を積極的に行うため、社内広報サイトに月1回程度の頻度で社長のメッセージを掲載しています。
また、年に一度の人事評価のタイミングで会社への提案を行うことができる仕組みを設けており、提案することを通じた当事者意識の醸成、提案力の向上を目指しています。社員の会社に対する提案は社長がすべて目を通しており、会社が行う改善施策の中には、こうした取り組みから得た社員の意見が積極的に取り入れられているものもあります。また、提案内容の傾向や多く見られた提案について社員にフィードバックしています。
ほかにも、社員同士のコミュニケーションを活性化させるために、社内ポータルサイト内に社内向けの自己紹介サイトを設置しています。社員は任意で自分のプロフィールを編集・掲載することができ、お互いに業務経験や趣味などを理解することで、業務上の円滑なコミュニケーションにつながっています。
欧州任天堂 社員主導の取り組み「Nintendo FIT」
「Nintendo FIT」は、健康とパフォーマンスの促進、ストレス軽減、社員の満足度向上を目的とした、欧州任天堂の社員による社員のための取り組みです。インターネットなどの手段を通じて、欧州の全オフィスの社員も可能な限り「Nintendo FIT」の活動に参加できるようにしています。
2023年度は、オンラインと対面のヨガセッション、ランニンググループ、欧州任天堂(ドイツ)のフィットネスルームでのサーキットトレーニングといった活動が提供されました。サッカーやバスケットボールなどのスポーツイベントに参加するために、社内ポータルサイトで社員自身が新しいスポーツチームを結成することもできます。
欧州任天堂(ドイツ)の社員は毎年6月に、フランクフルトで開催される5.6キロのレース「J.P. Morgan Corporate Challenge」に参加することができます。「Nintendo FIT」運営チームはイベント後に参加者のための祝賀会を開催しています。
2024年のJ.P. Morgan Corporate Challengeに集まった 欧州任天堂社員
欧州任天堂 「イベントハブ」を利用した交流と研修
欧州任天堂(ドイツ)は社内ポータルサイトに「イベントハブ」というセクションを設け、社員が興味に応じて空き時間に参加できる交流イベントを独自に企画したり、申し込んだりできるようにしています。「イベントハブ」では、フランクフルトオフィスのスポーツ用グラウンドを予約し、サッカーや卓球、バスケットボールなどの試合を開催できるほか、「社員エリア」に備え置かれたNintendo Switchや自分のゲーム機を使って仲間と協力プレイを楽しむこともできます。このほかの活動としては、食べ比べイベントや読書クラブ、週に一度夜に開催されるボードゲームの会などがあります。
「イベントハブ」では、社員が他の社員のために研修やワークショップを開催することも可能です。現在または過去の実例としては、護身術の講座や工芸ワークショップ、定期的なランニンググループなどがあります。社員主導の研修に加えて、会社も社員のビジネススキルを高めるために、「ハイブリッド型会議の進め方」、「レジリエンス-自分の資質を発見し強化する方法」といった研修を実施しています。また、欧州任天堂ではさまざまな背景を持つ社員が働いているため、社員には欧州と日本の文化の両方に関する研修を受ける機会を設けて、相互理解とつながりを深めています。社員がさまざまなテーマについて学べるように、「イベントハブ」で受講できる研修は定期的に変更されています。
「イベントハブ」は、欧州任天堂の社員が成長し、ネットワークを広げ、新しい趣味を発見し、仲間と情熱を共有する機会を提供するだけでなく、社員が気軽に集まり、交流を楽しむ場にもなっています。
欧州任天堂 バーチャルコーヒーブレイク
欧州任天堂では、普段の仕事の範囲を超えて社員が交流し、同僚と会う機会をつくるために、人事部がバーチャルコーヒーブレイクを開催しています。希望者は簡単な登録を済ませるだけで参加でき、抽選によって社員3~4人ずつのグループに分かれます。参加者は会話を楽しんだりネットワークづくりをしたりし、お互いのことをより理解することができます。このコーヒーブレイクはドイツ、オランダ、ベルギー、イタリアで好評を博しており、参加者はこれまでに合計1,000杯以上のコーヒーをともに楽しんでいます。
欧州任天堂・任天堂オーストラリア 社員の子どものためのイベント
任天堂の一部の拠点では、社員の子どもたちのためにさまざまなイベントを開催し、保護者が毎日働いている職場を見学する機会を提供しています。
欧州任天堂(ドイツ)の人事部は、2024年6月に「キッズデー」を開催しました。本社オフィスでのイベントに子どもたちとその両親、祖父母の合計約200人が参加し、ガイドが案内するオフィスツアーやゲーム大会、写真撮影を楽しみました。さまざまな遊び場に加え、フェイスペインティング、アート・クラフト体験が用意されたほか、パスタランチがふるまわれ全員が社員食堂に集まって食事を楽しみました。
任天堂オーストラリアでも、子どもたちに楽しみながら将来のキャリアの選択肢を考えるヒントにしてもらうことを目的に、「Bring Your Family to Work Day」というイベントを毎年開催しています。2024年のイベントは、任天堂オーストラリアのマネジメント層の挨拶、オフィスツアー、Nintendo Switchのゲームプレイといった内容で、40人以上の子どもが参加しました。
こうしたイベントを通じて社員とその子どもたちを笑顔にしながら、子どもたちがキャリアについて考え始めるきっかけづくりができればよいと考えています。
欧州任天堂の「キッズデー」イベントで子どもたちと一緒にゲームを楽しむ社員
オフィスづくり
任天堂は、社員が働きやすいオフィスづくりに努めています。
欧州任天堂(ドイツ) 社員の働きやすさ・機能性・環境への配慮を重視したオフィス
欧州任天堂(ドイツ)の本社は、社員の働きやすさ・機能性・環境配慮を重視して、以下のような設備・機能を有しています。
メディア機器を効率的に利用できるようにデザインされた会議室
DGNB※1 のゴールド認定の要求事項を満たす設計
漁網をリサイクルして作られたカーペットなど、環境面での持続可能性を考慮した備品を使用
サッカー場・卓球台・バレーボールやバスケットボールなどに利用できる多目的競技場
オフィス用品とプレイエリアを備えた、子どもの面倒を見ながら仕事ができる親子用ルーム(学級閉鎖等の緊急時に利用可能)
Wi-Fiが使用可能な緑地やテラスエリア
フィットネスルーム
ユニセックス・バリアフリートイレ(すべての階に設置)
エネルギー高効率な冷暖房装置
建物外部における日照防止パネルの設置や窓の開閉を可能にする設計
高さを調節できるデスクなど、人間工学に基づく家具類
※1 DGNB
Deutsche Gesellschaft für Nachhaltiges Bauen(ドイツ持続可能建築協会)による建築物評価制度。環境への影響を低減しているかという観点のほか、費用対効果や不動産価値の維持などの経済的側面、室内の快適さや誰にとっても使いやすいデザインなどの社会的および機能的な側面などさまざまな側面から建築物の持続可能性を評価する。
任天堂オーストラリア 職場環境の整備
任天堂オーストラリアのオフィスは、社員の健康や福祉、アクセシビリティや環境面などに配慮し、社員にとってより快適なワークスペースとなるようデザインされています。快適な座席レイアウトを実現したほか、オフィス内に観葉植物を多く設置して雰囲気の向上を目指しています。また、建物内のアクセシビリティも重視し、エレベーターや、障がいのある方に対応した設備を備え付けています。また、オフィスの環境負荷を低減するため、空調の効率性を向上する外窓用のソーラーフィルムや、人がいない時に自動的に消える照明の設置など、オフィスの環境パフォーマンスを向上させています。
人材の育成・開発
任天堂の競争力の源泉は、社員一人ひとりの力です。社員の能力を最大限に引き出し活かすことが、長期的に会社の総合力を高め、任天堂で働く一人ひとりの意欲の向上にもつながると考えています。
任天堂が大切にするもの
任天堂は、娯楽を通じて世界中の人々を笑顔にするために、独創・柔軟・誠実からなる「任天堂DNA」を大切にしています。
「任天堂DNA」に基づく任天堂(日本)の人材戦略とそれを支えるための取り組みについて、詳しくはこちら をご覧ください。
また任天堂(日本)では、「任天堂DNA」と一般的な社会人として守るべき「行動規範」に基づき編集した「社員心得」を全社員に配付して行動の指針にしています。
海外子会社においても「Code of Conduct」を作成し、社員への啓発を行っています。
人材の育成・開発のための取り組み
激しい環境の変化に対応し、「娯楽は他と違うからこそ価値がある」という「独創」の精神を大切にし、お客様に良い意味で驚いていただける商品やサービスを提供し続けていくことは、決して容易なことではありません。これからも、いまだかつてない楽しさを実現し続けるために、任天堂は各地域で人材の育成・開発に取り組んでいます。
任天堂(日本)では、社員が社内の仕事を理解し、業務の連携や自らのキャリアパスについて考える一助として、社内ポータルサイト上に「部署紹介」というページを設け、各部署の業務内容やその部署での業務を通じて身につく知識や能力、キャリアパス例などを紹介しています。
任天堂(日本)におけるそのほかの取り組みについて、詳しくはこちら をご覧ください。
海外子会社においても、人材の育成・開発のための取り組みを実施しています。例えば欧州任天堂では、さまざまな言語を母国語とする社員が一緒に働いているため、共通言語として使用する英語に加え、ドイツ語や日本語(必要に応じて)の研修を用意することにより、社員が不自由なくコミュニケーションを図れるようサポートしています。
このほか、米国任天堂では、社内の求人情報が社内ポータルサイトに掲載され、すべての社員がアクセスして確認できるようになっています。社員はこのページを通じてさまざまな業務について詳しく学び、採用担当者や採用マネージャーと話し合って詳細を知ることができます。ある職に応募した社員には、面接と評価のプロセスを通じて、公正な選考が保証されています。
米国任天堂の社員は入社後に、米国任天堂の大切な考え方を身に着け、さらには笑顔を届けるという使命を果たすための日々の行動指針である「Nintendo of America Practices」の説明を受けます。「Nintendo of America Practices」は、「お互いに支え合う」「尋ね、聞き、学ぶ」「前へ進む方法を探る」「配慮して行動する」の4つから成り立っています。米国任天堂では、2024年を通して、「Nintendo of America Practices」を実践するためのスキルを高めるために、すべての社員と管理職が「Practices Foundations」という研修に参加しました。
欧州任天堂では、すべての求人情報が社員向けのキャリアポータルサイトに掲載され、欧州全体の社員が閲覧・応募できるようになっており、地域横断型の社内公募制度としています。
任天堂オーストラリアでも、求人情報を社内に掲載して必要なスキルを持っている社員からの応募を呼びかけており、社員が経験を広げ、自らのスキルを開発する機会を提供しています。
職場の安全衛生
任天堂は社員がいきいきと働き、能力を発揮し続けるためには、心身の健康維持が不可欠だと考え、業務内容や地域の特性に合った施策を実行しています。
職場の安全衛生の確保
任天堂は、社員に安全な職場環境を提供できるよう取り組んでいます。
任天堂(日本)では、「安全衛生規程」のもと、快適な職場環境をつくるために、事業所ごとに「衛生委員会」や「安全衛生委員会」を設置しており、毎年「年間安全衛生推進計画」を作成し、活動を行っています。委員は、その過半数が従業員代表※1 の推薦に基づいて選任されており、定期的な社内巡視のほか、健康診断結果の改善を目指す取り組みを通じて、社員に対する啓発などを行っています。健康診断などの重要な健康関連施策の結果は、人事部から経営層へ適宜報告されています。また、労働災害を防止するため、法令で定められた作業区分に応じて作業主任者を設けるとともに、緊急時に対する対応手順を定めています。
各委員会は、救命講習や防災体験講習の受講や、労働安全衛生に関する情報を展開することなどにより、全社的な意識の向上に努めています。
海外の子会社も、職場環境向上のため労働安全衛生に関わる法令の遵守状況について内部監査を実施するなど、職場の安全衛生の維持に努めています。
※1 従業員代表
各事業所の社員の過半数を代表するものとして信任投票により選任され、労使協定の締結などを行う。
任天堂(日本)年間安全衛生推進計画
基本方針
法令を遵守し、職場の安全衛生活動に積極的に取り組み、教育、啓蒙を通じて、個々人の安全と衛生意識を高め、自立的な安全衛生活動を通じて、安全・快適な職場を形成します。
活動方針
①安全衛生に関わる法令の遵守、②予防的な安全衛生活動の強化を柱に、年間を通して継続的に安全衛生活動を推進していきます。
重点施策
安全衛生管理体制の維持
予防的健康支援
作業環境の維持管理
安全衛生教育・行事
快適な作業環境の維持
任天堂(日本) 「目を大事にしよう週間」の実施
任天堂(日本)の本社棟の「衛生委員会」では、2024年8月から9月にかけて「目を大事にしよう週間」を実施しました。情報機器作業との関連性も深い目の健康を守るため社員の意識を向上させることを目的に行いました。
期間中に各種資料と共に社内ポータルサイトで告知したほか、各階のエレベーターホールに自分でできる網膜疾患と乱視の簡易検査ポスターを掲示しました。
衛生委員会や安全衛生委員会では今後も健康関連の情報発信や施策の実施に努めます。
心身の健康維持
任天堂では、社員の健康維持に関する取り組みを実施し、心身の不調を予防するためのサポートを行っています。
任天堂(日本) 社員の健康に関する取り組み
任天堂(日本)では、社員一人ひとりが主体的に健康を維持していくことを支援するために、産業医・保健師による「健康相談室」を開設し、誰でも自由に心身の悩みや気がかりな点を相談できるようにしています。心の問題に対しては、産業医らによる面談やセルフケアの支援によるメンタルヘルス支援体制を整え、予防・早期発見に努めています。
また、予防的な健康管理の強化を重要な活動の一つとし、生活習慣病予防健診等の受診率向上に向けた取り組みを継続的に実施しています。また、万一病気やケガが原因で長期休職や退職する場合、長期休職時の生活支援金や休職期間満了退職時の退職支援金制度があります。さらに福利厚生制度として、GLTD(Group Long Term Disability)保険※2 に加入しています。
※2 GLTD保険
業務内外問わず、病気やケガが原因で退職となった後仕事に復帰できない場合に、月収の一部を最長65歳まで補償するもの。
そのほか、以下のような取り組みを実施しています。
勤務間インターバル制度 勤務終了後、翌日の勤務開始時間までに少なくとも9時間以上のインターバルを確保しなければならないとする勤務間インターバル制度を導入しています。
長時間労働者に対する面談の実施 長時間労働による健康障がい防止のために、希望者に加え、時間外労働が一定時間を超える社員全員に対して調査表による健康チェックを実施し、産業医が面談を行う運用としています。産業医は、社員の健康障がい防止のために、本人および会社に対して適切な助言指導を行っています。
婦人科検診受診率向上に向けた取り組み 婦人科検診で高い実績をもつ病院と法人契約を行い、時期や年齢に関わらず、優待価格で検診が受けられるようにしています。
メンタルヘルスケア ストレスチェック(こころの健康診断)を導入しており、社員のこころの健康状態を振り返る機会を設けています。結果に応じて、産業医もしくは提携している外部業者のカウンセラーとの面談を実施し、早期フォローに努めています。 休職中の社員に対しては、産業医が定期的に面談を実施しています。また、復職前には、通勤訓練や生活リズムの記録など、社員がスムーズに復職できるようなサポートも行っています。さらに、復職後にも、産業医による定期的な面談を行うことによるフォローや、時間短縮勤務制度などを設けています。
感染症に対する予防 感染症に関する情報を社内ポータルサイト上で案内し、社員の認識を高めるとともに、警戒レベルに合わせて対策を周知しています。 また、海外渡航者に対しては、渡航先における衛生情報の提供を行っています。海外赴任者に対しては赴任前後に家族も含めて健康診断や感染症の予防接種を行っています。
米国任天堂 社員の心身の健康確保のために
米国任天堂は健康増進関連のサービスを対面とオンラインの両方で提供しています。サービスの内容は徐々に充実を図っており、それについて社内ポータルサイト記事やメール、自宅宛の郵便を通じて、従業員に継続的に告知しています。
例えば、社員を支援するプログラム「Employee Assistance Program」を通じて、社員全員が対面またはオンラインのカウンセリングを無料で利用できるようにしています。加えて、会社が提供する医療保険に加入している社員には米国任天堂の健康センター(CareATC)を通じて、一次診療、処方薬、理学療法、カウンセリング、コーチングなどのケアやメンタルヘルスサポートを対面またはオンラインで受けられるようにしています。これらのサービスの多くを、無料もしくは最小限の自己負担額で提供しています。
また、「Nintendo Wellness」プログラムを通して、社員に対し適切な食事やエクササイズなどの健康維持に関する情報を提供する活動を行っているほか、社員とその家族が健康に関する意識を高く持てるよう、フィットネスチャレンジやウォーキング大会などさまざまなイベントを定期的に開催しています。
ほかにも、職場で感じている懸念を匿名で相談できる仕組みを設けており、米国任天堂で働くすべての人が利用することができます。
欧州任天堂 社員向けの相談窓口によるサポート
欧州任天堂は、社員向けにさまざまな相談窓口によるサポートを提供しています。2022年4月、欧州任天堂は外部のサービス提供業者と提携して、社員を支援するプログラム「Employee Assistance Program」を立ち上げました。「Employee Assistance Program」は、仕事や職業生活、家族や人間関係、心と体、ライフバランス、健康、人生に関わる重大な問題、法律・金融関連のトピックなど、多岐にわたる分野で欧州全体の社員からの相談に応じ、それぞれの相談内容に適したアドバイザーを紹介しています。
このカウンセリングのほかにも、 Nintendo FIT という取り組みの中で、カウンセラーを招いてストレスや家族の問題など日頃の悩み事について相談する機会を設け、社員が日常生活の困難を乗り越えられるよう支援しています。
任天堂オーストラリア 「STEPtember」ウォーキングチャレンジ
2024年9月、任天堂オーストラリアは、1か月間の社員の歩数を増やすために、「STEPtember」ウォーキングチャレンジを開催しました。40人以上の社員が、各部署のメンバーで結成した少人数のチームに分かれて参加し、会社のランチタイム・ウォーキング・グループに参加する、週末は外出する、始業前や終業後に歩くなど、毎日の歩数を増やそうと励まし合いながらチャレンジしました。参加者全体で約300万歩を達成し、1人当たりの歩数は平均して1日約4,000歩から9,600歩に増えました。
任天堂オーストラリア 「R U OK?デー」
任天堂オーストラリアでは、毎年9月の「R U OK?デー」を大切な日として扱っています。「R U OK?デー」とは、自傷行為防止のための慈善団体R U OK?が設定した、周りの人に「R U OK?」(大丈夫ですか?)と声をかけることを通して、メンタルヘルスに関する認識を高め、メンタルヘルスの問題を話し合いやすい環境づくりを進めるための日です。2024年の「R U OK?デー」に任天堂オーストラリアは、社員に対して「R U OK?」と呼びかける意味を込めて、R U OK?のロゴが入ったモーニングティーを社員全員に配布しました。